EVコンセントは今のうちに設置を!EV充電設備の種類やメリット、設置する際のポイントを紹介  

皆さんこんにちは。

神奈川を拠点に、東京・千葉でも電気工事を手がける株式会社エビスです。


ここ数年で、電気自動車(EV=Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド車(PHEV)が一気に普及しました。それに伴って増加しているのが、「自宅にEV充電用のコンセントを取り付けたい」というEVユーザー様からのご依頼です。


自宅でEVの充電ができればとても便利になるので、設置は積極的に検討すべきでしょう。ただ、EV充電設備にはいろいろな種類があり、設置時の注意点も少なくありません。そこで今回は、EVの充電設備の基礎知識や、ご自宅に設置する際のポイントをご紹介します。




■EVの充電方式は2種類ある



最初に押さえておきたいのは、EVの充電方式の知識です。EVの充電方式には、「普通充電」と「急速充電」の2種類があります。現在、国内主要メーカーのEVには、2種類の充電方式それぞれに対応した充電口が設けられています。


普通充電は、100Vもしくは200Vの低い電圧で、時間をかけて充電する方式です。一般的なバッテリー容量が40kWh(キロワット時)のEVだと、満充電までには12時間~13時間程度かかります。これは車種や設備にもよりますが、100Vなら1時間、200Vなら30分の充電で10km走行できる計算です。


一方、急速充電は、普通充電よりも高い電圧・電流で充電することで、より早く充電できる方式です。一般的には30分~40分で80%程度、5分間で走行距離40km相当の充電ができます。こう聞くと「急速充電の方が便利だから、自宅には急速充電器だけ設置すればいいか」と考える方もいるでしょう。


しかし実のところ、EVの充電には普通充電の方が適しています。なぜなら、急速充電は早く充電できる反面バッテリーへの負担が大きく、劣化を早めてしまうリスクがあるからです。各地にある公共の急速充電器も、ほとんどが1回30分までと利用時間が制限されています。加えて、充電設備の導入コスト・維持コストも急速充電器の方が高めです。


それに比べると普通充電は、充電時間こそ長くかかるものの、バッテリーを長持ちさせ導入・維持コストも抑えることができます。また、帰宅後すぐに充電を開始すれば、翌日出かけるまでには充電完了しますので、充電時間の長さもほとんど問題になりません。


そのため、自宅のように長時間駐車する場所に充電設備を設置するなら、普通充電用のもので十分です。急速充電器は、どうしても必要な場合にのみ設置するといいでしょう。




■自宅用のEV充電設備の種類【接続方法編】



自宅に設置できるEVの普通充電設備は、充電ケーブルの接続方法によってさらに3つの種類(モード)に分けられます。モード1と2は、購入時についてくる車載充電ケーブルでEVとコンセントをつなぐというもので、いわゆる「EVコンセント」です。とてもコンパクトなのに加えて多くは壁面に取り付けるため、ほとんど場所を取りません。


このうちモード2は、漏電検知や過電流・過熱防止のためのコントロールボックス(制御回路)がケーブルに組み込まれています。モード1のケーブルはコントロールボックスを搭載しておらず、現在販売されている車種では使われていません。古い車種以外でモード1を採用しているのは、一部のベンチャーや海外製の小型EV程度です。


一方、モード3は充電設備側から充電ケーブルを伸ばして接続する方式で、コントロールボックスも充電設備側に搭載されています。こちらがいわゆる「普通充電器」です。車載充電ケーブルを必要とせず、高出力の機種なら充電時間を短縮できるといったメリットがあります。


ただし、モード3は一部のEV(特に海外製)の充電ができない場合がある他、導入コストが高めです。また、いくら高出力の充電器を導入しても、EVの車載充電器が低出力にしか対応していなければ、その範囲内での充電しかできません。汎用性を求めるならEVコンセントの方がおすすめです。普通充電器を採用するとしても、自分の車に充電できるかどうかは必ず事前に確認しておきましょう。


そして、EVコンセントを採用する場合は、電圧の選択に注意が必要です。EVコンセントの電圧は、通常の家庭用コンセントと同じく200Vと100Vがあり、どちらかを選ぶことができます。しかし実際には、100Vを選ぶEVユーザーはあまりいません。


というのも、大容量のEV用バッテリーを充電するためには、100Vだと時間がかかりすぎるからです。基本的には、200Vのコンセントを採用した方がいいでしょう。もちろんその場合は、自宅に200Vの電気を引いている必要があります。古い住宅だと100Vしか引いていないことも多いため、必要に応じて分電盤の交換や引き込み工事を行ってください。




■EVの充電に普通のコンセントは使えない?



EVの普通充電については、「使う電圧は家庭用の100Vや200Vなんでしょ? だったらわざわざ専用のコンセントを設けなくても、家にある普通のコンセントで充電できるのでは?」と考える方もいると思われます。確かに、一般的なコンセントでも通電できる場合はあるのですが、原則としてやってはいけません。


現在、EVの充電用コンセントは「日本配線システム工業会規格」に準拠して作られ、専用の電源プラグに対応しています。規格の異なるコンセントに無理に差し込むと、プラグのロック機能が働きません。差し込みが不十分だと火災につながるおそれもあり、とても危険です。安全に充電するためにも、必ずEV専用コンセントを使いましょう。


なお、海外製EVは日本車とは充電規格が異なる場合があります。こちらも無理に接続すると事故のリスクがあり、そもそも充電できない可能性もあるため、所有する車種に対応した充電設備を選ぶようにしてください。




■自宅用のEV充電設備の種類【設置方法編】


自宅用のEV充電設備は、設置の方法によっても数種類に分類できます。主な設置スタイルの種類と特徴を見ていきましょう。



・壁面取り付け型

建物の外壁に取り付ける方法で、多くのEVコンセントはこのスタイルを取っています。設置場所を取らずデザイン性に優れ、費用もお手頃なのがメリットです。主に駐車場と建物の距離が近い場合に採用されます。



・スタンド型

建物から独立した、縦長のスタンド型充電設備を設置する方法です。駐車場と建物の間に距離があっても使用できるのが大きなメリットで、商業施設・公共施設の充電設備としてもよく採用されます。EVコンセントタイプはもちろん、本体に充電ケーブルを備えた普通充電器タイプもあります。



・V2H機器

V2H(Vehicle to Home:ビークル・トゥ・ホーム)とは、「車から家へ」という意味です。その名の通り、EVと充電設備を接続し、EVのバッテリーに蓄えられた電力を建物内で使えるようにします。つまり、EVを災害時などの非常用電源として活用できるのです。


また、高出力で充電ができるため、充電時間が短くなるメリットもあります。ただし、メリットが多い分、他のタイプに比べて価格は高めです。




■今住んでいる家にEV充電設備を設置する場合のポイント



EVコンセントをはじめとするEV充電設備は、現在のお住まいに追加で設置することも可能です。費用は使用するコンセントにもよりますが、戸建てで4万円~12万円程度と、それほど高くはありません。ただし、設置する際はいくつか注意すべき点があります。


まず、前述したように200Vの電気を引くとともに、契約アンペア数も現状のままで大丈夫か調べる必要があります。EVへの充電には15A(アンペア)程度の電流を消費するため、何も考えずに充電するとブレーカーが落ちてしまうことが少なくないからです。他の家電の使用に支障をきたさないよう、必要に応じて契約アンペア数を変更しましょう。


また、設置工事を行うためには電気工事士(第二種以上)の資格が必要です。無資格の人が行うと、違法行為になる上に感電事故や火災のリスクがあり、そもそも正確な施工ができないかもしれません。DIYで設置するのではなく、必ず資格を持った専門業者に依頼しましょう。


そして、どのような工事が必要なのかは自宅の環境(分電盤の状況や駐車場までの距離など)によって変わってきます。設置位置が制限されることもある他、コンセント設置のために外壁に穴を開ければ、ハウスメーカーの外壁保証に影響するかもしれません。こういった注意点を洗い出すためにも、専門業者にしっかりと現地調査をしてもらうことが大切です。




■結局、EV充電設備は設置した方がいいの?



ご自宅の新築やリノベーションを検討している方の中には、ハウスメーカーからEVコンセントなどの設置を進められ、どうすべきか迷っている方もいると思われます。実際のところ、EVを所有していなかったとしても、自宅にEVコンセントはあった方がいいのでしょうか?


結論からいうと、EVを所有しているかどうかにかかわらず、可能であればEVコンセントを設置しておくことをおすすめします。なぜなら、付けることによるデメリットはほとんどない一方、付けなかった場合は将来的なデメリットが大きくなるからです。


たとえば、国内の某自動車メーカーは、2040年までにハイブリッド車・PHEVも含めた内燃機関搭載車の生産をやめると発表しています。東京都の小池知事も2030年までの脱ガソリン車を掲げていますし、環境省も2030年までにガソリン車の購入をやめるとしています。先進各国のEVシフトの姿勢を見ても、今後EVは確実に普及していくでしょう。


つまり、将来EVを購入する可能性がどんどん高くなっている以上、今のうちにEVコンセントを設置しておいた方がいいのです。特に新築の場合は、後付けよりもずっと安い費用でコンセントを設置できます。また、お住まいの地域によっては、EV充電設備を設置すると補助金が出る場合があります。「とりあえず」設置しておくだけでも、まったく問題ありません。


そもそも、EVはガソリン車に比べてランニングコストが安いケースが多く、夜間料金が安くなる電気料金プランとの相性も抜群です。将来的に費用を取り戻せる可能性があるわけですから、EVの購入と充電設備の設置を併せて検討してみてはいかがでしょうか。




■EV充電設備を設置する際の流れ



自宅にあったEVコンセントを選び、スムーズに工事を行うためには、正しい手順に沿って動く必要があります。そこで最後に、EVコンセントを設置する際の基本的な流れを確認しておきましょう。



①施工業者の選択

まずは施工業者を選択します。EV充電設備の施工実績が豊富かどうかが最も重要ですから、ホームページなどで情報を確認しましょう。



②現地調査

選んだ施工業者に相談し、現地調査や費用の見積もりをしてもらいます。分電盤と駐車場の位置関係や壁面の材質など、調べなければならないことはたくさんあるので、時間をかけて調査をしてもらってください。



③契約

見積もりをもらい、内容に納得したら正式な契約を結びます。見積もりに不明点・疑問点があれば、契約前に何でも質問しましょう。なるべく複数の業者から見積もりを取り、比較検討するのがおすすめです。契約後は、工事日の決定などを行います。



④工事

いよいよ設置工事です。工事では主に専用ブレーカーの設置、配線の敷設、EVコンセントの設置などを行います。作業にかかる時間は最短半日程度です。当日は基本的に立ち合いが必要なので、予定を合わせておいてください。後々のトラブルを防ぐためにも、工事中に気になる点があれば遠慮なくその場で質問しましょう。



株式会社エビスでは、一般住宅から大きな工場まで、幅広い電気工事に対応しております。EV充電設備の設置をはじめ、さまざまな電気工事の施工実績が豊富です。ベテラン職人が対応するため、常に高品質な施工をお約束します。電気設備に関するお悩みや工事のご依頼などがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。




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