配線工事に必要な資格とは?未経験から目指せる資格と仕事の違いを解説

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「家の照明を変えたい」「コンセントの位置を移したい」――こんなふうに、身の回りの電気のことを気にかける場面は意外と多いものです。けれど、それを自分でやろうとしたとき、「これって資格がいるのかな?」「そもそも自分にできるの?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。


電気は目に見えないぶん、正しい知識と技術がなければ思わぬ事故や火災につながることがあります。だからこそ、国でも一定の資格を持った人しかできないと定めている工事があるのです。一方で、簡単な器具の取り替えなど、特別な資格がなくても対応できる範囲も存在します。


この記事では、配線工事に関わる資格にはどんなものがあるのか、また資格の有無でできることにどんな違いがあるのかを、わかりやすく解説していきます。




配線工事に関わる主な資格一覧

配線工事とひと口に言っても、できる内容は人によって異なります。なぜなら、法律で「この工事は資格を持った人しかやってはいけません」と決められているからです。特に住宅や店舗などで使われる電気を扱う仕事には、しっかりとした知識と技術が求められます。


まず、配線工事でよく聞くのが「電気工事士」という資格です。これは第一種と第二種の2つに分かれており、第二種電気工事士は主に一般住宅や小規模な店舗などの電気設備の工事を行うことができます。一方、第一種電気工事士になると、工場やビルなど高圧の電気を使う現場でも作業ができるようになります。


もうひとつ、「認定電気工事従事者」という資格もあります。こちらは、すでに第二種電気工事士の資格を持っている方が、高圧の受電設備(キュービクルなど)につながる配線工事を行うために必要な資格です。第二種だけでは対応できない高圧部分の作業を可能にするため、より専門性の高い現場で求められることが多いです。


このように、配線工事に関わる資格にはいくつかの種類があり、それぞれの資格によって対応できる範囲が変わってきます。現場の規模や扱う電気の種類によって、どの資格が必要かをしっかりと見極めることが大切です。




資格によってできることの違いとは

配線工事に関わる資格は、種類によって作業できる範囲が変わります。これは、扱う電気の大きさや工事の規模によって、求められる知識や技術が異なるためです。どの資格を持っているかによって「どこまでの仕事ができるのか」がはっきりと決まっているので、まずはその違いを押さえておくことが大切です。


たとえば、第二種電気工事士の資格があれば、家庭用の電気設備に関する配線工事やコンセントの取り替えなど、一般住宅や小規模な店舗などでの作業が可能になります。ただし、これだけでは高圧の受電設備が関係する場所や、一定の規模以上の建物での工事はできません。


第一種電気工事士になると、こうした制限が広がります。工場や大型の建物など、高圧や特別高圧を使う電気設備の工事も手がけられるようになり、より大きな現場でも対応できる力が身につきます。


また、先に紹介した「認定電気工事従事者」の資格は、すでに第二種電気工事士を取得している人が、キュービクル式の高圧受電設備につながる配線工事を行うために必要なものです。高圧部分に手を加える工事は危険も伴うため、専門の講習を受けて知識と技術を高めることが求められます。


つまり、資格の種類によって「電気を引き込む元の部分まで触れるのか、それとも建物の中だけなのか」といった違いがあるのです。どんな現場で働きたいかによって、目指す資格も変わってきます。




資格取得の流れと難易度

配線工事に関わる資格を取るには、どのような流れになるのか気になる方も多いかと思います。特に「勉強が苦手だけど挑戦できるかな」「働きながらでも間に合うだろうか」など、不安を感じるのは自然なことです。ここでは、代表的な資格である「第二種電気工事士」を例に、取得までの道のりを紹介します。


まず必要なのは、筆記試験の合格です。筆記では、電気の基本的な知識、配線図の読み取り、安全に関する法令などが問われます。参考書や問題集を使って独学でも学べますが、最近では通信講座や動画教材など、学びやすい方法も増えてきています。毎年春と秋に試験があるため、無理のないスケジュールで準備することが可能です。


筆記試験に合格すると、次は技能試験に進みます。これは実際に配線を組んだり、工具を使って決められた作業を時間内にこなす試験です。電気の知識だけでなく、手際の良さや正確さも大切になるため、事前に十分な練習が必要です。配線工具の扱いに慣れていない場合でも、練習キットを使えば自宅でも取り組むことができます。


資格の難易度は、人によって感じ方が違いますが、しっかり準備をすれば決して手の届かないものではありません。また、第一種電気工事士や認定電気工事従事者の資格も、それぞれに応じた試験や講習が用意されています。


「資格を取ってから現場に出る」のではなく、「現場を経験しながら資格に挑戦する」という道もあります。働きながら資格を目指す人も多く、そうした人たちを支える職場環境も少しずつ整ってきています。




資格を持って働くメリットとは

配線工事の資格を持つことには、さまざまなメリットがあります。ただ作業の幅が広がるというだけでなく、働き方や将来の選択肢にも良い影響をもたらします。ここでは、その中でも特に実感しやすい3つの利点をご紹介します。


一つ目めは、「できる仕事が増えること」です。資格がないと法律上できない工事も多く、現場での役割が限られてしまいます。資格を取れば、分電盤の取付けやコンセントの増設など、実際に手を動かす仕事を任されるようになります。これは自分の力で一つの現場を形にするという達成感にもつながります。


二つ目めは、「収入面での評価が高くなること」です。資格を持っていると、それだけで手当がついたり、給与が上がったりする職場もあります。また、資格保有者しかできない仕事を任されることで、責任ある立場につくことも可能になります。将来的には独立して仕事を受ける道も見えてくるでしょう。


3つ目は、「仕事への安心感が生まれること」です。電気工事は、ちょっとしたミスが事故や火災につながることもある仕事です。資格を通じてきちんとした知識を身につけておくことで、自信を持って現場に立てるようになります。「これで本当に大丈夫だろうか」といった不安が減ることは、働くうえでとても大切なことです。


配線工事は、誰でもすぐに始められる仕事ではありませんが、資格を持つことでできることがぐんと広がります。そして、その一歩が自分の働き方や将来を豊かにしてくれる力になるのです。




まとめ

配線工事に関わる資格にはいくつか種類があるため、「自分にはどれが合っているのか」と迷う方もいるかもしれません。そんなときは、まず「どんな現場で働きたいか」「どのくらいの規模の仕事に携わりたいか」を考えると、方向性が見えてきます。


たとえば、住宅や小さな店舗など、身近な場所での仕事を考えているなら、まずは第二種電気工事士を目指すのが基本です。一方で、ビルや工場といった大きな施設の工事に関わりたい場合は、第一種電気工事士や認定電気工事従事者といった、より高い資格が必要になります。


また、働きながら資格を取れる会社を選ぶのも一つの方法です。現場経験と学びを両立しながら、自分のペースでステップアップしていける環境があれば、安心して長く働き続けることができます。