よく言われる「クリーンエネルギー」とは?電気代高騰の背景と今後のクリーンエネルギーの需要は?

皆さんこんにちは。神奈川を拠点に、東京・千葉でも電気工事を手掛ける株式会社エビスです。


電気を作るのに必要な原料として、天然ガス・石油・石炭などが使われます。地球温暖化対策のひとつとして、これらの原料を使わずに、太陽光や水力などの自然エネルギーを活用し発電するシステムが注目されています。世界情勢を反映して、電気代高騰が続いていることからも、自然エネルギーの活用が大いに期待されているのです。


この記事では、自然エネルギーを使って電気を生み出す「クリーンエネルギー」について理解を深めましょう。




■そもそもクリーンエネルギーとは?



クリーンエネルギーとは、地球温暖化や大気汚染を引き起こす温室効果ガスを排出しない・もしくは排出量を抑えたエネルギーをさします。クリーンエネルギーは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどの自然由来エネルギーが活用されるため、「自然エネルギー」とも言われます。


温室効果ガスの元となっているのは、二酸化炭素・一酸化二窒素・メタン・窒素酸化物・フロンガス・放射性廃棄物などです。これらの成分は、すべて人間活動が活発となったことで増加したものばかりです。特に、温室効果ガスに含まれるガス物排出量のうち、二酸化炭素の割合が最も高くなっています。


二酸化炭素は、石炭や石油などを燃焼させることで排出されますが、世界における平均地上気温の上昇割合と二酸化炭素の排出量は、ほぼ比例していると言われています。地球がもともと持っている温室効果は、地球の平均気温を保つために重要な性質ですが、大気中に含まれる二酸化炭素の濃度が増えると、温室効果が必要以上に高まるため、地球温暖化が進んでしまうのです。


クリーンエネルギーは、温室効果ガスの増加リスクを抑えるエネルギーとして、日本でも積極的に導入したいエネルギーです。日本のエネルギー自給率は、世界的に見てもかなり低いことから、日本国内で調達できる安定的なエネルギー源の確保が求められています。




■クリーンエネルギーにはどんなものがある?特徴は?



現在活用が広まっているクリーンエネルギーには、主に以下の5種類が挙げられます。なお、原子力発電は、発電効率が良く発電時に二酸化炭素を排出しないものの、放射性廃棄物の問題や放射線漏れのリスクなどから、クリーンエネルギーには該当しません。



・太陽光発電


ソーラーパネルを使って太陽の光を集め、発電する方式です。屋根や空きスペースなどにソーラーパネルを設置しているところも増え、多くの人が目にするようになりました。クリーンエネルギーの中でも普及が進んでおり、2020年の総発電量のうち、8.5%を太陽光発電が占めています。


太陽光発電は、エネルギーが確保しやすく、蓄電池に貯めることで非常用電源に活用できます。一方で、天候や光の強さで発電量が左右される制約が、大きな課題です。



・風力発電


風の力で風車を回転させ、発電する方式です。風車が風を受けやすい山頂や広い公園などに、発電機を設置します。クリーンエネルギーに占める割合は大きくないものの、電気エネルギーへの変換効率が高く発電コストが低いため、世界各国で風車の導入が進んでいます。


風車の設置場所確保が課題とされるほか、太陽光発電と同じく発電量が風量に影響されます。



・水力発電


クリーンエネルギーの中で、歴史が長い発電方式です。土地の高低差を利用し、高所から低所へ水を流したときの力を使って発電タービンを回します。ダムや渓流で活用されているほか、オフィスビルの空調設備でも導入されています。


水資源が豊富な日本では、積極的に活用したい発電方法です。一定量の電力を確保できる一方で、コスト面や環境負荷などにも考慮する必要があります。



・地熱発電


地下熱を利用してタービンを回し発電する方式であり、火山帯に位置する日本では古くから用いられてきました。発電量が天候に左右されず、石油や石炭のように枯渇するリスクもありません。


ただし、発電所設置までのハードルが高く、設置コストや自然破壊リスクなどの課題があります。発電所設置に適した土地は、温泉や公園などがすでに設けられた場所も多く、調整が必要です。



・バイオマス発電


枝葉や木材などの木くずや生ゴミなどから作られる資源「バイオマス」を利用した発電方式です。バイオマスを直接燃やすか、または燃料に加工して燃やす方法で、蒸気やガスで発電します。


燃やす時に二酸化炭素を排出するものの、植物の製造過程において光合成が行われると二酸化炭素が吸収されます。このため、バイオマス発電は二酸化炭素増加につながらず、クリーンエネルギーに分類されるのです。




■環境にいいクリーンエネルギーの導入が進まないのはなぜ?



ここまで紹介したように、クリーンエネルギーは環境にやさしく積極的な導入が求められます。にもかかわらず、導入がなかなか進んでいないのは、以下の2つの理由があるためです。



・多額の発電コストがかかる


クリーンエネルギーは、燃料を使った発電に比べコストが高くなる傾向にあります。特に、バイオマス発電や太陽光発電は、火力発電よりも2倍から3倍程度のコストが必要と言われています。


バイオマス発電は、燃料を作る資源を集めるのに多額のコストがかかります。太陽光発電は、設備投資コストの価格が大きなネックとなるのです。



・電力供給量が天候に左右される


太陽光発電は日照量・風力発電は風量と、気象条件によって電力供給量が左右されるのも、クリーンエネルギーの導入を阻む原因です。電気の安定供給には、電力制御設備や蓄電池などの設備設置が必要です。




■とはいえ、電気代の高騰は深刻!その要因とは?



電気代の高騰は、一般家庭・企業を問わず大きな影響を及ぼし、現在も状況はとても深刻です。太陽光発電の導入で、電気代を抑えながら環境に優しい対策を検討する人が増加していると想定されます。


電気代の高騰には、どのような要因が関係しているのでしょうか。



①ウクライナ情勢に伴う電気代高騰


ウクライナ情勢により、石炭や天然ガスなどの輸出制限が行われ、輸入価格上昇が世界中で続いています。これに加え、日本国内における電気の発電には、石炭や天然ガスが多く使われているため、電気代にも大きく影響を及ぼしています。


2020年時点での、日本国内における発電方式の内訳は以下の通りです。


火力発電…76.3%

再生可能エネルギー発電…19.8%

原子力発電…3.9%


また、火力発電には以下の割合で燃料が使われています。


天然ガス(LNG)…51.1%

石炭…40.6%

石油…8.3%


上記の数値から、日本国内の電気料金は、ウクライナ情勢と大きく関係している実態が分かります。



②コロナの影響による経済活動の変化


コロナ禍により、経済活動が世界的に停滞した影響で燃料の需要が減ったため、化石燃料価格が2020年4月に一時的に下落しました。その後、経済活動が回復しつつある現在では、逆に供給が追いついておらず、価格が高騰しているのです。



③円安の影響


2022年度に発生した大幅な円安も、電気代高騰に拍車をかける結果となりました。2021年6月時点では、1ドル110.1円であったものが、2022年6月には1ドル133.9円まで上昇しました。




■さらに家庭・企業ともに、2023年4月から再度値上がり見込み?


政府が実施する「電気・ガス価格激変緩和対策事業」より、一時的に電気料金は低下するものの、この事業は2023年9月使用分までと期間が限られています。大手電力会社が、経済産業省に対して申請している電気料金値上げが承認されれば、2023年4月から6月にかけて電気料金の再度値上がりが想定されます。




■クリーンエネルギーの導入を検討する小規模企業や一般家庭が増える?



近年では、電気自動車の普及率が高まり、社用車や自家用車を電気自動車に乗り換える方も増加しています。これに伴い、会社や自宅の駐車場にEVコンセントを設置するケースも増えてきました。


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電気代の高騰が続く中で、少しでも節電したいものの、電気自動車の導入などで使用電力を大幅に減らすのは難しいでしょう。そこで検討したいのが、電力を自給自足する環境の構築です。


現在の新築住宅では、ZEH(ゼッチ)住宅が主流となっています。消費電力よりも、自家発電量を増やす設備を導入した住宅であり、太陽光発電の需要増加が見込まれています。また、太陽光発電や蓄電池の設置、断熱性能の向上などを目的としたエネルギーリフォームも、電気代高騰に向けた取り組みのひとつです。




■最近の太陽光発電のコスパ向上でさらに導入を後押しする?



太陽光発電設備の性能は、従来に比べ格段に上がっており、コスパも向上しています。


小さな面積で多くの太陽光を集めるパネルや、電気エネルギーへの変換効率を向上させるパネルなど、さまざまなパネルの研究が進んでいます。電力供給に必要なパワーコンディショナーも小型化が進み、消費者の選択肢が広がっているのです。さらに、太陽光発電システムと屋根材などが一体になった商品や、超軽量型の太陽光発電システムなど、技術開発の進歩により新しいラインナップも増えています。


太陽光発電の導入には、現状を見極めたうえで正しい知識を蓄えることが必要です。個々の状況を踏まえ、メリットにつながるのであれば、導入を検討されると良いでしょう。太陽光発電パネルと一緒に蓄電池も利用すると、より節電につながります。



株式会社エビスは、地元密着型の電気工事会社として、太陽光発電の設置に関するご相談を承ります。その他にも、一般住宅・工場・オフィスなどの電気代高騰に関するお問い合わせなどがございましたら、お気軽にご相談ください。




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